久々の成田は北京へと飛ぶ。
楽しさと寂しさまじりながらの一人出張。
寂しいといったのは、別に、一人が嫌だというわけではなくて、
彼氏と喧嘩をしたまま別れて来てしまったから、心が曇っている感じだった。
成田空港まで見送りに来てくれたのに、素直に喜べなかった。
最後まで電話くれたのに、意地悪なことばかり言った。
むしゃくしゃしながら、湊かなえの告白を読み終えたフライト3時間。
北京空港に到着したら、ベンダー先のファンさんと、運転手さんが
迎えてくれた。新しい人との出会いで、憂鬱な時間が、少しだけ
楽しく、わくわくした。
協力会社のファンさんと運転手さんと共にBeijingの夜を走る。
Beijigの街はきっと変わった。
15年前にきた幼心に覚えているBeijingの様子とは全く違う装いをしていた。
人気の少ない町並みを照らすビルの明かり。
そこからは”人のにぎわう中国”とは異なった、
モダンで、少しすました中国の新しい顔が見えた。
北京オリンピックのために立てられたメインスタジアム、”鳥の巣”が放つ
静かな青い光から、中国経済のめまぐるしい成長や、現代化された国の発展、
変わりゆく国家イメージを伝えるんだという人々の勢い、たくましさを感じる。
北京を一人歩く。
この知らない土地で、どんな歴史が繰り返され、どんな文化で人が育ち、
そして、何を思って人は生きているのだろうと。
さっき、原付でとおりすがった人が、二人乗りをして、信号無視した。
この人達が日本に来たら、何を感じるんだろう。
警察に捕まって、罰金を命じられたら
なんて理不尽な国なんだって思うのかな、なんて考えてた。
正しいことなんて、なにもないんだ。
そう思い出したら、なんかとてつもない開放感に包まれた。
地球は広いんだなぁ。
いつも外の世界を見るたび、思う。
そして、自分が抱えている悩みなんて、本当にちっぽけなんだなぁと。
小さいとしりながらも、躓く自分。
くだらないとしりながらも、執着する自分。
一人、歩きながら、彼氏のことを考える。
成田で味わった、苛立ちと悲しみと、愛情が混ざった、苦い感情を思い出す。
人間は本当に小さい。
そして、その小さな人間の集合体が、大きな世界だということが、非常に興味深い。
そういえば、明日は私の誕生日。
カウントダウンは彼氏とウェブカメラでお祝い。
手書きのケーキをカメラ越しにかざして、お祝いしてくれた。
世界は大きい。
人も沢山いる。
だけど自分の居場所は、そんなに広いわけじゃない。
だからこそ、人間は、家族とか、恋人とか、友達とか、
大事にしなければいけないモノを必死に守り抜くのだろう。